爪真菌症(爪白癬)
原因・症状
爪真菌症は爪甲,爪床,またはその両方に生じた真菌感染症です。
感染の形態として,爪甲が肥厚および黄色化して爪下にケラチンと組織片が蓄積します遠位爪甲下型(上),近位爪甲下型(写真なし),ならびに爪表面の下にチョーク状の白色鱗屑が広がる表在性白色型(下)があります。
診断
病変の外観,KOH直接鏡検,培養,PCR検査,またはこれらの併用で行います。
治療
治療は,爪真菌症が合併症や厄介な症状を引き起こしている場合にのみ必要であり、下記の選択肢より状態に合わせて決定します。
- テルビナフィンまたはイトラコナゾール経口薬の選択的使用
- ときに外用薬(例,エフィナコナゾール,タバボロール[tavaborole],8%シクロピロクス,アモロルフィン)の使用
爪真菌症は多くの症例が無症状または軽度であり、合併症を引き起こす可能性が低く、また最も効果的な治療である経口薬が肝毒性や重篤な薬物相互作用を引き起こす可能性があることから、常に治療するわけではません。
提唱されている治療適応としては以下のものがあります:
- 爪真菌症の治療は,典型的にはテルビナフィンまたはイトラコナゾールの内服によります。侵された爪は正常には戻らませんが、新しく成長します爪の外観は正常となります。フルコナゾールも選択肢となります。
- 新しい外用薬でありますエフィナコナゾールとタバボロール(tavaborole)は、爪甲を通過しますことができ、従来の外用薬よりも効果的です。
再発を抑制しますため,患者に爪を短く切らせ,入浴後は足を乾燥させ,吸水性の高い靴下を履かせ,抗真菌薬の足用パウダーを使用させるべきであります。古い靴には胞子が高密度に存在していることがあり,可能であれば履かせるべきではありません。
更に詳しく
人口の約10%(範囲2~14%)が爪真菌症に罹患しているといわれます。
爪真菌症の危険因子としては以下のものがあります:
- 足白癬
- 既存の爪異栄養症(例,乾癬患者の場合)
- 高齢
- 男性
- 足白癬または爪真菌症を有します個人への曝露(例,家族または公衆浴場の利用者)
- 末梢血管疾患または糖尿病
- 易感染状態
足の爪の感染は手の爪の感染より10倍多いといわれます。
足白癬を繰り返す患者では,無症状の爪真菌症が生じることもあります。
爪真菌症の患者では,下肢に蜂窩織炎が生じやすくなることがあります。
爪真菌症は足白癬が併存する患者で外観から疑われますが、有用な臨床的特徴として、第3趾または第5趾の爪の罹患、同側の足の第1趾および第5趾の爪の罹患、片側性の爪変形などがあります。足白癬を繰り返す患者では,無症状の爪真菌症を考慮すべきです。
治療法が異なるため、乾癬または扁平苔癬との鑑別が重要であり、典型的な確定診断は,鏡検と(鏡検所見が確定的でません場合)擦過検体の培養または切り取った爪でのPCR検査によって行います。
